Wired Ham Net は遠隔操作局の操作をインターネットを介して行うものです。都会に住むハムにとって納得のいくアンテナを備えたシャックの実現は難しいけれど、上京組の私には田舎に十分な土地があります。 こ こから遠隔操作局の発想が生まれました。

構成要素

全体は通信機とアンテナを備えた通信局とこれを操作するオペレータのいる操作局および両者を接続するインターネット回線で構成されます。操作局は複数設置でき、社団局とすることもできます。また、通信そのものではなく設備の管理、監視を行う監視局も必要となりますが、これは操作局が兼務することもできます。

通信局

通信局は以下の要素で構成されます。

1.通信機
通信機は当然ながらPCから制御できるものでなくてはなりません。私は初級オペレータ用にFT-817、上級オペレータ用にFT-897を選択しました。これはたまたまFT-817を購入していたためにPC制御の実験ができたことと、周波数およびモードが広範囲にわたっているためです。

FT-817ND

小型でHF〜UHFまでカバーしているのがすごい!.

 

FT-897D

FT-897

これもHF〜UHFまでカバーして電源内蔵の100W機



 

 

 

 

 

 

2. アンテナ
せっかく恵まれた土地に建てるのですから15m以上のタワーを建ててマルチバンド八木を振り回すことを考えていましたが、タワーの建設費だけで100万円近くかかることを知り、あきらめました。替わりに選んだのがダイアモンドのマルチバンドグランドプレーンKV-5です。これは単に一本でHF帯をカバーできる安易さが決め手でした。
144/435MHzは本気で運用することはないので適当なデュアルバンダーを設置します。

3.PC
PCは手持ちのDELLのノートPC Inspiron6400 を使用しました。ノートPCの良い点はバッテリーを内蔵しており、最低一時間は動作するのでUPSが不要になることです。OSは安定性を考慮して Windows Server 2003 R2 を採用しました。一つ前のバージョンのサーバOSとして枯れており、自宅で使っている Windows Home Server の元になっているので挙動もわかっているためです。ただいろいろなツールが対応できるか心配な点もあります。
通信機のコントロールソフトは定番の Ham Radio Delixe (HRD)を使用しました。高機能な割りに直感的な使用感とサーバ・クライアントを同じソフトで構成できる点も魅力です。もちろんFT-817、FT-897に正式対応していることも大きな要素です。
ただ、HRDは通信の音声は扱わないのでSkypeを使用します。特定のバディからしか通話を受けず、バディからの通信には自動応答するようにしました。

4.インターネット回線
これは現地で提供されているサービスからしか選択できません。調べてみるとISPとしては東海ネットワーククラブ(TNC)というところがメジャーなようなのでそこの光回線プランにし、回線業者はコミュファプランというNTTより安い回線にしました。ところが回線工事が申し込んでから2ヶ月かかるという、ADSLを始めたころのソフトバンクなみの遅さです。
自宅でも光回線なので、それ以外の選択肢(要するにADSL)は考えていなかったのですが、スループット(速度)は当然出るとして、レイテンシー(遅延)がどれほどなのかが使用時には大きく効いてきます。実は自宅の光回線を使用しているときにとてつもなくレイテンシーが大きくなってアプリケーションがタイムアウトで落ちてしまうようなことがときたまあります。コミュファの回線がどれほどのものか使ってみてからでないとわからないものの、これも不安要素のひとつです。

5.監視装置
機械は無人の室内で動作させるので、火を噴いていないかなどを監視するためにカメラを2台設置しています。ひとつは Skype の動画機能を利用してUSBカメラでアンテナを監視します。本来はちゃんとローテータで回っているか見るためだったのですが、今はアンテナが折れていないか程度の監視です。
USBカメラはPC経由なので、PCがダウンしていては使用できません。そこでPCからは独立したンットワークカメラを設置して室内の様子、特にPCと通信機を監視します。幸い秋葉でPCIのネットワークカメラが6,000円ほどで購入できました。

Webカメラ CS-TX04F

Web カメラ CS-TX04F

Planex社のWebカメラです。安価ですが十分な性能を持っています、

 


 

 

 

 

6.安全装置
これも無人の環境で動作させるためのものです。PCと通信機の電源をネットワーク経由でON/OFFできるようにしてあります。使用したのは秋月通商で販売している安価なIP powerという機材ですが使用しているリレーは100W機の電源にも十分に使用できるものです。当然ながらPCとは独立して動作していますからネットワークカメラと同様に回線とルータまでが生きていれば操作できます。それがだめだったら?・・・・3時間以内*にかけつけるしかありませんが、幸い自宅も通信局も東名のインターから近いので確実に行くことができます。
使用した機材にはNC(Normally Closed)リレーが二つとNO(Normally Open)リレーが二つあり、下記のように使用しています。

リレー1(NC) 通信機およびPCの電源 緊急時遮断用
リレー2(NC) 未使用  
リレー3(NO) 室内照明 60WLEDランプの点灯
リレー4(NO) 通信機切り替え FT897/FT-817のマイク、スピーカ、アンテナを切り替えます。


なお、使用したIP Power 9202は安価ですが非常に癖があります。販売されている商品のファームウェアがとても旧いものもあり、それにあたってしまったのでファームウェアのバージョンアップにとても苦労しました。また動作が安定せず何度か動作を繰り返さないとリレーが反応しなかったり、管理画面が乱れたりするのであまりお勧めできません。ほかにも似たような機材があるのでそちらをお勧めします、ただし日本製は高価です。

* 総務省(旧電波管理局)のガイドラインで遠隔局を設置するときは3時間以内に行くことができることが必要要件です。もっとも火災になっていたら3時間後には鎮火しているような気もします。

遠隔操作電源装置

sample

全体は耐火性より漏電を重視してポリエチレンの衣装ケースを流用しています。安価で加工がしやすい点もメリットです。

 

電源ケースの中にはやはりLEDの常夜灯を入れてパイロットランプにしています。照明は葉t熱による発火を防ぐためすべてLEDランプを使用しています。ケース背面には常時ON、リレー1、リレー3用の3つの三口コンセントを取り付けてあります。
リレー4の出力はケーブルで引き出し、切替え装置のコネクタに接続しています。
また、LANコネクタや動作表示LEDの載ったコントロール基板にはD-Sub15ピンケーブルで接続しています。

7.セキュリティ
インターネット回線を使用するからにはVPNを張っておかなければ安心できません。今回はYAMAHAのルータを対向で使用してPPTPによるVPNとしています。YAMAHAのルータは自宅や職場でも使用していて慣れており、高機能なのに使いやすい点が魅力です。セキュリティの強度ではIPSecの方が上ですが、設定が面倒です。幸か不幸かYAMAHAのルータはIPSecをサポートしていないので良い言い訳になっています。

VPNシステムの詳細

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